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古いアパート・マンションを嫌がる子供や孫に引き継いでもらうためにはどうしたらよいの?

財産ドックの定期会合で学んだこと

 

 

先日、弊社の勉強仲間が集う「財産ドック」の定期会合がありました。

その中で、ある税理士の先生のお話がとても印象に残りました。

 

その先生は、東京都内でお父様が所有されていた古い賃貸アパートを引き継ぐことになったそうです。

ところが、そのアパートは長年十分な修繕がされておらず、建物もかなり古い状態でした。

 

そのため、引き継いだ後の管理や経営に大変苦労されたとのことです。

 

その経験がきっかけとなり、その先生はアパート経営や相続、税務、法律について本格的に学び、

税理士資格、さらに司法書士資格まで取得されたそうです。

 

つまり、古い収益物件を親から引き継いだ苦労が、ご自身の学びの原点になったというお話でした。

 

 

建築費は上がり続けている

 

今回の会合では、アパートやマンションの減価償却、修繕、資本的支出についても学ぶ機会がありました。

 

特に印象的だったのは、建築費は年々上昇しており、今後も大きく下がる可能性は低いのではないか、という点です。

 

そう考えると、必要な修繕を先送りするほど、将来的な工事費はさらに高くなる可能性があります。

 

「今が一番安い」と考えて、必要な修繕は早めに、積極的に行っていくことが大切だというお話でした。

 

 

 

生前の修繕は相続対策にもなる

 

古いアパートやマンションをそのまま子供に引き継がせようとしても、今の時代、

子供世代は必ずしも喜んで引き受けてくれるとは限りません。

 

むしろ、

「管理が面倒」
「修繕費が大きくかかりそう」
「不動産より現金の方がいい」

と考える相続人も増えているように感じます。

 

そのため、親世代が大切にしてきた収益物件を子供に引き継いでもらいたいのであれば、

生前のうちに修繕を済ませておくことが重要になります。

 

きれいに改修され、管理しやすい状態になっている物件であれば、子供たちも引き継ぎやすくなります。

 

逆に、老朽化が進み、多額の修繕費が必要な物件であれば、相続人にとっては負担の大きい財産になってしまいます。

 

 

 

修繕費を親の代で負担する意味

 

生前に修繕をしておくことには、大きく二つの意味があります。

 

一つは、子供たちに将来の修繕負担を残さないことです。

もう一つは、相続対策としても有効になり得ることです。

 

 

例えば、現金で3,000万円、5,000万円をそのまま相続させるのではなく、

生前に建物の修繕や改修に使うことで、建物の価値や収益性を高めることができます。

 

 

現金は、基本的にはそのまま相続財産として評価されます。

 

一方で、その現金を建物の修繕や設備のリニューアル、外装工事などに使うことで、

建物の付加価値を高めることができます。

 

もちろん、使った金額がそのまま建物評価に上乗せされるわけではありません。

 

また、その支出が修繕費になるのか、資本的支出になるのかによって税務上の扱いも変わります。

 

ただ、手元に現金をそのまま残すよりも、生前に必要な工事を行い、物件の状態を良くしておくことは、

相続対策としても、次世代への引き継ぎ対策としても意味があるのではないかと感じました。

 

 

 

修繕費と資本的支出の違い

 

 

今回の学びの中で、特に重要だったのが「修繕費」と「資本的支出」の違いです。

 

通常の修繕であれば、その年の経費として一括で処理できる場合があります。

例えば、建物の原状回復や通常の維持管理のための工事などです。

 

 

一方で、建物の価値を大きく高めたり、性能を向上させたりする工事は

「資本的支出」と判断される場合があります。

 

 

資本的支出になると、その年に全額を経費として落とすことはできません。

 

建物の一部として資産計上し、減価償却によって何年かに分けて経費化していくことになります。

 

 

例えば、屋上防水工事であっても、単なる修繕であれば修繕費として処理できる可能性があります。

 

 

しかし、以前よりも大幅にグレードアップするような工事であれば、資本的支出になる場合があります。

 

この判断は非常に大切です。

 

 

減価償却をうまく活用する考え方

 

 

仮に工事費がその年に全額経費にならず、資本的支出として減価償却になる場合でも、

それが必ずしも悪いわけではありません。

 

特に、不動産を複数所有されている方や、所得の高い方にとっては、

減価償却費を毎年計上できることが大きな意味を持つ場合があります。

 

 

例えば、ある工事費が資本的支出となり、毎年200万円、300万円といった形で

減価償却費として経費計上できるとします。

 

本来であれば、年間所得が1,000万円ある方は、その所得に応じた税金を納めることになります。

 

しかし、減価償却費として毎年200万円を経費計上できれば、

課税対象となる所得は単純に考えると800万円になります。

 

 

日本の所得税は累進課税ですので、所得が高くなるほど税率も高くなります。

 

そのため、減価償却費によって毎年の所得を圧縮できれば、

結果として適用される税率が下がったり、税負担を抑えられたりする可能性があります。

 

 

これが単年だけでなく、複数年にわたって続くと、長い目で見たときに

大きな節税効果につながる場合があります。

 

 

特に、複数の物件を所有している方の場合、それぞれの物件で修繕や設備更新を行い、

それに伴う減価償却費が毎年積み上がっていくことがあります。

 

 

そうすると、毎年の不動産所得を安定的に圧縮できるため、高所得の方にとっては税務上の効果も大きくなります。

 

 

 

現金を建物の付加価値に変えるという考え方

 

 

また、手元に3,000万円、5,000万円といった現金がある場合、その現金をそのまま残しておくのか、

それとも建物のために使うのかという視点も大切です。

 

現金をそのまま持っていれば、相続時には基本的にそのまま相続財産として評価されます。

 

一方で、そのお金を使って、外装工事、屋上防水工事、給排水設備の更新、共用部の改修、

室内設備のリニューアルなどを行えば、建物の見た目や機能、入居者からの評価を高めることができます。

 

 

もちろん、それが修繕費として一括で経費になるのか、資本的支出として減価償却になるのかは、

工事内容によって判断が分かれます。

 

ただ、いずれにしても、現金を建物の付加価値に変えることで、物件そのものを

より引き継ぎやすい状態にすることができます。

 

 

さらに、資本的支出となった場合でも、それは減価償却を通じて何年かに分けて経費化されていきます。

 

特別にその支出自体へ別の課税がされるというよりも、税務上は建物等の資産として扱われ、

減価償却という形で計算されていくことになります。

 

 

この点も、不動産を所有する方にとっては大切な考え方だと思います。

 

 

 

RC造の減価償却について

 

 

減価償却を考えるうえでは、建物の構造ごとの法定耐用年数も重要です。

 

例えば、鉄筋コンクリート造、いわゆるRC造の建物であれば、法定耐用年数は47年とされています。

 

ここで注意が必要なのは、築年数が経過した建物に対して資本的支出を行った場合です。

 

例えば、築30年のRC造建物に大規模な補修工事や設備更新を行い、それが資本的支出と判断された場合、

その支出部分については、修繕費として一括で落とすのではなく、減価償却によって経費化していくことになります。

 

 

このとき、単純に「築30年だから残り17年で償却すればよい」という考え方ではなく、

工事内容や資産の種類、税務上の取り扱いによって償却期間が判断されます。

 

 

そのため、大きな工事を行う場合には、事前に税理士の先生に確認しておくことがとても大切です。

 

 

 

今回の学びのまとめ

 

 

今回の財産ドックの定期会合を通じて、古いアパートやマンションを所有している方にとって、

修繕を先送りしないことの大切さを改めて学びました。

 

 

建物は放っておけば古くなります。

 

そして、修繕を後回しにすればするほど、工事費は高くなり、相続人の負担も大きくなります。

 

 

親の代でできる修繕をきちんと行っておくことは、単なる建物管理ではありません。

 

子供たちへの配慮であり、相続対策であり、将来のアパート経営を引き継ぎやすくするための準備でもあります。

 

 

また、修繕費として一括で経費になる場合だけでなく、資本的支出として減価償却になる場合でも、

毎年の経費として所得を圧縮できる効果があります。

 

 

特に所得の高い方や、複数の不動産を所有されている方にとっては、減価償却費をうまく活用することで、

長期的な節税につながる可能性があります。

 

 

そして、手元の現金をそのまま残すのではなく、建物の修繕や設備更新に使うことで、物件の価値を高め、

次世代が引き継ぎやすい状態にすることもできます。

 

 

これからは、相続人が不動産を喜んで引き継ぐ時代ではなくなってきているように感じます。

 

 

だからこそ、
「この物件を子供たちに引き継いでもらいたい」
と考えるのであれば、今のうちから建物を整え、経営しやすい状態にしておくことが大切なのではないでしょうか。

 

 

修繕費になるのか。

資本的支出になるのか。

減価償却はどのように計算されるのか。

相続対策としてどのような効果があるのか。

 

 

こうした点を税理士などの専門家と相談しながら、早めに準備していくことが、

これからの賃貸経営にはますます重要になると感じました。

 

 

 

 

 

 

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