〜三都の相乗効果で世界を惹きつける未来へ〜
かつての栄光と、神戸が持つ唯一無二の魅力
私は以前より、神戸の街を散策するのがとても好きです。
なぜか、この街には他の地域では見られない独特の安らぎがあるのです。
南に瀬戸内海、北に六甲山を臨み、異国情緒あふれるモダンな街並みと
港町の開放感が調和したその佇まいは、昔からどこか洗練され、
私だけに限らず、多くの人々にとって憧れの対象であったように思います。
かつての神戸港は、日本経済を牽引する世界屈指の貿易港でした。
1980年代、コンテナ取扱量で世界トップクラスを誇っていた頃、
私は世界一と言われたオランダのロッテルダム港を訪れる機会がありました。
1983年8月でした。
ロッテルダム港はさすが世界一、ヨーロッパの玄関港と言われるだけあって、
確かにその規模の大きさには圧倒されたものの、当時の神戸港が放っていた
岸壁に並ぶ貨物や行き交う船、そして働く人々の熱気と勢いは、
世界最大の港に対しても決して見劣りしない「日本の誇り」そのものを感じました。
震災という試練と、激変する関西の勢力図
しかし、ご存じの通り1995年1月17日、阪神・淡路大震災という思わぬ災害が神戸を襲いました。
都市機能や港湾システムは一瞬にして致命的な打撃を受け、懸命な復興への歩みを進める最中、
アジア諸国の経済台頭によって、アジア最大級の貿易港としての地位も香港やシンガポール、
上海などへと移り変わっていきました。
近年、隣の大阪が国際都市として再開発や観光、ビジネスで凄まじい勢いを見せる一方、
現在の神戸はかつての華やかさが少し影を潜め、大阪の繁栄の陰に隠れてしまっているようにも見えます。
かつての輝きを知る一人として、寂しさを感じずにはいられません。
三宮再開発と「ポスト・オーバーツーリズム」に見る勝機
それでも私は、神戸にはまだまだ眠れる大きな可能性があると確信しています。
今、神戸の顔である三宮駅前を中心に、大規模な再開発が進んでいます。
どんな再開発になるかは知りませんが、ハイセンスな神戸のまちが再現されることを大いに期待しております。
不動産業界に身を置く者として痛感するのは、「街の価値は建物の新しさだけで決まるのではない」ということです。
大切なのは、かつての神戸のように、そこに人が集まり、歩きたくなり、心地よく滞在できる空間が生まれるかどうかです。
これが、神戸復興の起爆剤になることを切に願う次第です。
観光面でも新たな風が吹いています。
現在、大阪や京都は外国人観光客によるオーバーツーリズム(観光公害)が課題となっています。
だからこそ、洗練された品格を持つ神戸の出番だと思うのです。
神戸港の復興、神戸空港の飛躍、発展。
これにより、再び関西の玄関口としての地位の復活を願わずにはいられません。
神戸には、六甲山からの眺望、有馬温泉、灘の酒蔵、南京町、そして神戸牛や海の幸といったグルメ通の街でもあります。
世界に通用する観光資源がコンパクトに凝縮されています。
大阪や京都を訪れた観光客に「もう一歩」足を伸ばしてもらい、落ち着いた品の良さを楽しんでもらう。
この流れを作ることができれば、街に新たな活気と持続可能なにぎわいが戻ってくるはずです。
神戸の飛躍が日本の未来を変える
神戸が元気になることは、単に一都市の活性化にとどまりません。
関西の本質的な強みは、大阪の力強い経済の勢い、京都の深い歴史文化、奈良の古き良き佇まいに、
神戸の持つ国際性と洗練された美しさが加わることにあります。
この「三都市(あるいは四都市)」がそれぞれの個性を活かして機能し、相乗効果を発揮したとき、
関西は世界中からさらなる人、モノ、投資を惹きつける唯一無二の巨大な広域都市圏へと進化します。
世界にこれほど個性のある都市が近接して存在する地域は見当たらないのではと私は思うのです。
関西全体の地位向上は、長年の課題である「東京一極集中」に歯止めをかける起爆剤にもなり得ます。
神戸の過去の試練を糧としたこれからの大躍進は、関西、ひいては日本全体の未来を明るく照らす
大きな原動力になると、私は大いなる期待を寄せています。
