ロンドンの住宅不足はなぜ深刻なのか?
ロンドンは長年、住宅供給不足が続いています。
背景には・・・
◆ 高騰する土地価格と建築コスト
◆ 外国人投資家による高額物件の購入・保有(事実上空き家化している高級物件も存在)
◆ 賃貸物件の供給不足と人口増加による家賃の急騰
などの要素があるようです。
その結果、中低所得層が都市中心部から追い出される現象(ジェントリフィケーション)が
進行しているとのことです。
特に、住宅を失う層が増え、ロンドン市内のホームレス人口は過去最多水準となっています。
歩道や駅、公共空間で寝泊まりする人々の姿が日常風景となり、治安悪化や社会不安につながっているのが現状です。
また、住宅費の高騰は生活費全体に波及し、一般市民の消費活動を圧迫しています。
結果として地域経済にも悪影響を及ぼす悪循環が生まれているのです。
社会不安と治安への影響 ロンドンと日本の違い
ロンドンで顕著なのは、住宅不足が直接的に社会不安と治安悪化につながっている点です。
● ホームレス人口の増加により、公共空間の安全性が低下
● 生活困窮者の増加が軽犯罪やトラブルを誘発
● 貧困層と富裕層の格差拡大による社会的分断の進行
都市に住む人々の「安心して暮らせる感覚」が揺らいでいます。
日本は逆に、住居が比較的充足していることが、社会の安定と治安維持に大きく貢献しています。
● 生活困窮者でも公営住宅や支援制度で一定の住まいを確保しやすい
● 家賃が欧米主要都市に比べて比較的安価であるため、ワーキングプア層でも住居を維持しやすい
● 空き家活用の取り組み(リノベーション、賃貸化)が進めばさらなる余力もある
これにより、日本ではホームレスの大量発生や社会不安の拡大が抑制されている側面があります。
実際、世界的に見ても日本の都市の治安は非常に良好と評価されています。
《結論》 住宅問題は社会の「根幹」を左右する
こうして比較してみると、住宅問題は単なる不動産の話ではなく、
社会の安定そのものを左右する要素であることがわかります。
ロンドンのように住宅不足が深刻化すれば、都市の魅力や活力が損なわれ、社会不安が増加します。
日本のように住居が比較的行き渡っている状態は、社会の安定と治安維持に大きな効果をもたらしているのです。
もちろん、日本の空き家問題も放置すれば地域の衰退や防犯上のリスクに発展しますが、
適切な政策と活用策によって、まだ十分に改善の余地があります。
今後も「住宅という社会インフラ」をどう整えていくかが、両国に共通する重要な課題になるでしょう。
《おわりに》
日本の空き家問題は悲観的に語られがちですが「余っている」ことは、裏を返せば
「住める余力がある」ことでもあります。
一方、ロンドンの現状を見ると、住宅不足が都市の健全性にどう深刻な影響を与えるかがよくわかります。
住宅政策の違いが社会の安定度に直結することを、今あらためて意識する時期に来ているのではないでしょうか。
(2)空き家が増える日本とホームレスが増えるイギリス~どちらが深刻な社会問題?~ … 終わり