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(2)建築費の高騰がビル建設に及ぼす影響

建築費の高騰がビル建設に及ぼす影響について

 

 

ここ数年、建築費の高騰が深刻な問題となっています。

 

鉄筋やコンクリートといった資材の価格上昇に加え、人件費の上昇、さらには円安や規制強化の影響も重なり

かつての常識では考えられないような建築コストが現場で発生しています。

 

もともと「このくらいで建てられるだろう」と見積もっていた予算を大幅に超えるケースが続出しており

特に中小の不動産オーナーや建築主にとっては、計画の見直しや延期を余儀なくされる事態となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

建築費高騰の背景にある3つの要因

 

《1》資材価格の上昇

 

建設費を押し上げている最大の要因の一つが、建築資材の高騰です。

● 鉄筋や鋼材は、世界的なインフラ投資やウクライナ戦争、中国の輸出制限などが重なり、価格が高騰。

● コンクリートやセメントも、エネルギーコストの上昇を受けて価格改定が相次ぎ、特に生コンクリートの単価は工事現場を直撃しています。

● 木材価格は「ウッドショック」によって輸入材を中心に高騰し、国産材も連動して上昇。

● 空調・給排水・電気設備といった設備機器も、半導体不足や原材料費高騰の影響で値上がりし、納期遅延も発生しています。

 

 

《2》人手不足と人件費の高騰

 

建設現場の人材不足も深刻です。

● 高齢化により建設労働者の3割以上が55歳以上となり、若年層の担い手不足が続いています。

● コロナ禍の影響で外国人技能実習生の流入が滞り、労働供給が追いつかず、人件費が急上昇。

● 特に熟練の職人(鉄筋工、大工、左官など)は引っ張りだこで、日当も2万円を超えるケースが増えています。

● 工期延長や工程の遅れも珍しくなくなっており、結果として総建築費を押し上げています。

 

 

《3》法改正・建築基準の強化

 

規制強化によるコスト増も見逃せません。

● 地震対策や耐火構造、省エネ性能などが求められ、設計や施工に高度な対応が必要に。

● 2025年には住宅にも省エネ基準適合が義務化され、断熱材や高性能ガラス、換気設備の導入コストが増加。

● 商業ビルや集合住宅では、バリアフリー基準や消防設備の強化により、付帯工事の比率が増加。

● これらの追加仕様が、目に見えない形で建築費全体を押し上げる結果となっています。

 

 

 

 

既存ビル所有者にとっての“追い風”

 

こうした状況を逆手に取れば、既存ビルやマンションを所有しているオーナーにとっては

マイナスよりもプラスの要素が多いとも言えます。

 

建築費は今後も下がる可能性が低く、むしろさらなる値上がりが懸念されています。

その結果、新築計画の中止や延期が増え、供給が抑えられた市場では、既存物件への依存度が高まる傾向にあります。

 

 

結果として、既存物件の賃料の上昇、稼働率の向上、収益力の増加といったプラスの波及効果が見込まれます。

 

バブル期以降失われた30年の経済低迷時期では考えられなかった家賃の上昇により維持管理費の高騰を

まかなえるようになる可能性も出ております。

 

今後、事務所需要はどのような変化をするかは物件の立地や経済状況によって変わっていくでしょうが

マイナス要因ばかりではないように思います。

 

 

 

建物価値維持のために“攻めのメンテナンス”を

 

こうした好機を活かすには、リフォームやメンテナンスを「費用がかかるから」と怠らないことが重要です。

 

放置すれば老朽化が進み、いずれは建て替えや解体の必要に迫られますが

解体費用もここ数年で大幅に上昇しており、リスクは無視できません。

 

● 外壁塗装や屋上防水

● 共用設備(エレベーター、給排水管)の更新

● 空調や照明のLED化、省エネ対応の設備導入

 

 

これらを定期的かつ計画的に実施することで、建物の寿命を延ばし、入居者満足度も高まり

結果として資産価値を維持・向上させることができます。

 

長期的に見れば、収益力アップにつながる“攻めの維持管理”こそが、これからの不動産経営に必要不可欠な視点です。

 

 

 

 

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