住宅不足と住宅余剰
~ロンドンと日本、対照的な不動産事情がもたらす社会の姿~
昨今、世界中で物価高騰(インフレ)が深刻な問題となっています。
私の知人でロンドンと日本の2拠点生活をしている人がおりますが、
先日、その彼が興味深い話をしてくれました。
それは、イギリス・ロンドンの不動産事情と生活困窮問題についてでした。
日本でも全国的に空き家の増加が社会問題化しているのは、ご存じかと思います。
高齢化、人口減少により空き家がどんどん増えています。
一方、ロンドンでは住宅の供給不足にインフレの波が襲いかかり、日本の不動産価格の数倍にも達しており、
(ホームレス)路上生活者が至るところに目立つようになり、それが深刻な社会不安を引き起こし
治安の悪化に拍車をかけているとのことでした。
日本の空き家問題とイギリスのホームレス問題、社会問題として果たしてどちらが
「より深刻」と言えるのでしょうか?
ロンドンの不動産事情と物価高の実態
現在、ロンドンでは、不動産価格と家賃が非常に高騰しているようです。
データを調べてみると
● 物価インフレ率(2024年末時点)は約6〜7%前後。
● 住宅価格はコロナ後も上昇傾向で、ロンドン中心部では平均価格が70万ポンド超(約1億3,000万円)にも。
● 賃貸住宅の家賃も前年比10〜20%上昇というデータもあります。
結果として、低所得層や若年層が住宅を確保できない状況が続いており
ロンドン市内のホームレス人口は過去最多水準と言われているようです。
公的データによると、ロンドンだけで約1万人超のホームレスが確認されている状況です。
日本の空き家増加問題
一方、日本ではどうでしょうか。
● 総務省調査によると全国の空き家率は14%超(2023年)
● 地方部では30%を超える市町村も存在します。
● 高齢化・人口減少・相続未整理が主因であり「住めるのに使われない住宅」が大量に存在している状況です。
しかし、日本の都市部(東京・大阪など)では、依然として賃貸住宅需要は高く、ホームレス人口は減少傾向にあります。
どちらがより深刻か?
単純な「住宅が余っている・足りていない」だけでなく、社会的影響の深刻さで考えると…
結論としては、イギリス(特にロンドン)のホームレス問題の方が
「人命・生活基盤」という面では深刻度が高いと言えるのではないでしょうか?
一方で、日本の空き家問題も長期的な経済・地域衰退につながるリスクがあり、早急な対策が求められます。
ロンドンでは深刻な住宅不足と物価高騰が貧富の差を拡大し、ホームレスの増加と社会不安につながっています。
一方、日本では地方を中心に空き家が増加しているものの、全体的に住居の充足が社会安定と治安維持に寄与しています。
この2つの都市・国の対照的な状況から、住宅政策のあり方と社会への影響について考えてみたいと思います。
(1)空き家が増える日本とホームレスが増えるイギリス~どちらが深刻な社会問題?~ … 続く