移住への決断を後押ししたものは・・・
平成初めのバブル期のことです。
私の親しい知人が大阪府郊外で中古戸建てを所有していました。
ある日突然、奥さんの故郷である宮崎へ移住することを決意したとの話を聞いて驚きました。
その年の正月、知人家族が宮崎を訪問した際、両親の実家の近くで邸宅が売りに出ていました。
具体的な計画はなかったそうですが、実際に現地で物件を目の当たりにしたことで
その思いが一気に現実的なものとなったとのことでした。
宮崎は奥様の出身地であり、親戚も多く住んでいたため、移住への決断を後押ししたようです。
広々とした物件の敷地に加え、豊かな自然に囲まれ、美しい海や山が身近にある環境は
子どもたちがのびのびと過ごせる理想的な場所だと直感したそうです。
大阪では3階建の戸建3LDKで、家族6人の生活は限界を感じていたとのことでした。
奥様にとっては土地勘があることも大きな安心材料となり、決断までにそれほど
時間はかからなかったとのことです。
小学校・中学校に通う4人の子どもたちがいましたが、大阪での生活に慣れていたにもかかわらず
家族全員が移住に納得してくれたとのことでした。
引っ越し後は、新しい環境のもと、地域の人々の温かさに触れ、コミュニティの一員として
迎え入れてもらえると感じ、移住を決断してよかったと喜んでおられました。
ただ、一方で、ご主人の転職問題が最大の課題となったようです。
当時はまだリモートワークが普及しておらず、宮崎では新しい職場を探さなければなりませんでした。
大阪にいた頃と比べると仕事の選択肢は狭まり、給与面での待遇も下がったものの
物価の安さが生活費の負担を軽減し、それが移住のメリットとして実感できる点だったそうです。
しかし、それにも増して、地方ならではのゆとりある暮らしや、通勤時間の短縮など
大阪での生活にはなかった利点も多く、家族全体としては満足度が高まり、
家族の絆も強くなったと喜んでおられたのが印象的でした。
宮崎を訪問して地方生活に感動
私は、この年の12月に宮崎の自宅への招待を受け、このご家族と会食をともにしました。
大阪での以前の生活とは異なり、約100坪の広々とした自宅や自然豊かな環境を存分に
楽しむことができ、また、地域の人々にも温かく出迎えられ、大変満足されていたようでした。
このとき、私が驚いたのは宮崎空港は市内からとても近く利便性が大変良いことでした。
九州の空港と言えば、大分、長崎、鹿児島、熊本など空港と市内は結構離れていますが、
宮崎空港は本当に利便性が良いなあと実感した次第です。
私が大阪の自宅を出て伊丹空港を経由し、わずか3時間後にはこの知人宅に到着していました。
12月下旬の訪問でしたが、気候は暖かくて過ごしやすく、魚や野菜は新鮮で
なかでも宮崎牛は大変美味しく、一泊の滞在でしたが、とても満喫できました。
このご家族が移住を決断した理由がよく分かるとともに、私自身も羨ましく感じたほどです。
当時は二拠点生活というライフスタイルが一般的ではありませんでしたが地方生活に憧れを
抱いていた私にとって、大阪以外の住居を考える際に重要な要素は何かを改めて考えさせられました。
確かに飛行機での移動は交通費もかかり経済的に大変ではありますが、空港の近さなどの
交通の利便性の良さを考慮すると、宮崎のような気候が温暖で自然豊か、その上、
食べるものが美味しい地方での生活の拠点がもう一つあっても良いのではないかと思ったのです。
二拠点生活とは?
近年、リモートワークが一般的になりつつあり、従来のように毎日自宅と職場を往復する生活から
徐々に解放される傾向にあります。
労働時間の柔軟性が高まり、余暇を楽しむ時間が増えたことで、新しいライフスタイルとして
「二拠点生活」に注目が集まっているようです。
二拠点生活とは、都市と地方、または異なる2つの地域に生活拠点を持ち、それぞれの魅力を
享受しながら暮らすスタイルのことです。
例えば、大阪での仕事を維持しながら、週末や長期休暇は自然豊かな場所で過ごす生活スタイルです。
近年、世界的なグローバル化が進む中で、日本国内にはとどまらず、世界的な規模で
二拠点生活や三拠点生活のような多拠点でのライフスタイルが、トレンドになっているようです。
これは、今後もっと一般的になっていくと思います。
生成AIなどのテクノロジーの進化により、リモートワークの普及や交通インフラの発展が加速し
物理的な距離の制約が軽減されつつあります。
このような状況の中で、多拠点生活を送ることがより生活にも刺激が与えられ、
生き方の選択肢も増えることはとても良いことではないでしょうか。