今回は、あるオーナー様のご相談をもとに
「郊外の空き地に賃貸物件を建てる際の注意点」についてお話ししたいと思います。
このオーナー様は、複数の収益物件をお持ちで、ご自宅は大阪郊外の駅から徒歩13分の場所にあります。
敷地は100坪ほどと広く、自宅の隣にはアパートをお持ちです。
今のところ経営はうまくいっていますが、
「この近隣の空き地に新しくアパートを建てるべきか…」というご相談でした。
ここで考えたいのが「駅から徒歩13分」という立地条件。
これ、実は賃貸物件の入居率にとってはかなりハードルが高いポイントなんです。
郊外+駅遠=競争力低下のリスク
近年、都市部への人口集中が進む一方、郊外や地方では人口減少が目立っています。
特に若年層や単身者は「駅チカ」「利便性重視」の傾向が強く、駅から遠い物件はどうしても敬遠されがちです。
「徒歩10分圏内」が一つの基準とも言われるなか、徒歩13分となると日常的な通勤・通学にもやや不便。
雨の日や暑い日には「もう少し近い部屋がいいな」と思われる可能性が高くなります。
これから新築アパートを建てるとなると、こうした立地のハンデを設備や家賃でカバーする必要が出てきます。
しかし、それにはどうしても建築費や運営コストがかかってしまう…。
ただでさえ建築費が高騰している現在において、初期の投資コストを回収するのは至難の業となっている現状があります。
どうしても建てたいなら「賃貸戸建て」という選択肢も
そこで私たちが提案しているのが「無理にアパートを建てるのではなく、極力建築費を抑えた賃貸戸建てを検討してみては?」
というアドバイスです。
実は、最近は「小さめの平屋」「シンプルな戸建て」の賃貸ニーズがじわじわ増えてきています。
特にファミリー層やシニア層など、静かな環境を好む層には意外と好まれるんです。
また、戸建ては区分ごとの独立性が高いため、家族連れには安心感があるのも魅力です。
建築費もアパートより安く抑えられる可能性が高く、長期的に見ても修繕やメンテナンスの自由度が大きい。
将来的に売却や活用の選択肢が広がるという意味でも、柔軟な選択肢と言えるかもしれません。
まずは「入居者目線」で立ち止まって考えること
不動産は「建てれば入る」時代ではなくなってきました。
とくに駅から遠い郊外の土地では、入居者目線で「その場所に住みたいと思うか?」を
よく考えてみることが大切です。
もちろん、土地の特性や周辺のニーズによって正解は一つではありません。
アパートが合うケースもあれば、戸建てや他の用途(駐車場、トランクルームなど)が有効な場合もあります。
「立地条件に少しでもハンデがあるなら、建築コストを抑えておく」
これが、これからの人口減少時代における郊外賃貸経営の基本戦略かもしれませんね。