目次
リスクを減らすために知っておきたいこと(1)
売却時にすぐに買い手がつくか
どんな物件でも購入時に最も重要な点は、もし何らかの事情で売却する事態になった場合に
すぐに買い手が見つかるかどうかです。
物件を気に入って購入したとしても、その後「収益が思わしくない」
「周りの環境が悪くなった」「急に資金が必要となり現金化する必要が出てきた」
「もっと良い物件が出てきたので今の物件を売却したい」など、状況が変わることがあります。
不動産物件の最大の欠点は、株や投資信託とは違い、すぐに売却して現金化できない、つまり流動性が低い点です。
何らかの事情で売却しなければならない場合、買い手を探すのに大きな労力と費用がかかることが多いです。
弊社の苦い経験 淡路島の発展に大いに期待したが・・・
実際に弊社でも、バブル前に淡路島の土地を明石海峡大橋完成後の発展を期待して
分譲住宅用地や商業ビル用地を購入しましたが、その後バブル崩壊で
多くのプロジェクトが中止となり、発展の期待は大きく外れました。
不動産物件も売ろうにも全く買い手がつかず、借入金の返済で苦労しました。
当時の借入金利は年間5%を超えており、支払いが非常に大変でした。
値下げしても買い手が見つからず、高い利息を払い続けるしかない状況でした。
不動産価格が下落する際は、速やかに損切り覚悟で売却した方が傷が深くならずに済みますが
損切りさえできないと最悪の事態となります。
これがまさに「負のスパイラル」です。このような事態は絶対に避けるべきです。
そのため、購入時には売却を想定して物件を選ぶことが何よりも重要です。
購入後の出口戦略を常に考え、不測の事態に備えることが安定した不動産経営の第一歩です。
リスクを減らすために知っておきたいこと(2)
◆ 傾斜地や崖地は避ける
眺めが良い傾斜地や崖地は一見魅力的に見えますが、大きなリスクを伴います。
擁壁や下水道の設置が必要な場合、その費用が予想を大きく上回ることが多く
またゲリラ豪雨などによる土砂崩れのリスクもあります。
このような地形の物件は転売が難しく、出口戦略として不利です。
地形的な制約が多いため、買い手が見つかりにくいことを考慮すべきです。
◆ 田舎の土地には慎重になる
田舎の土地は広く、将来的に発展が期待されることもありますが、発展には長期間を要することが多く
資産価値がすぐに上昇する保証はありません。
特にローンを組んで購入する場合は、長期的な金利上昇や返済リスクを考慮する必要があります。
弊社でも、前述のように淡路島の土地で返済に苦労した経験があり、田舎の土地には慎重な対応が求められます。
不動産の将来性に期待して購入するリスク
また、物件の将来性に期待しすぎることもリスクです。
たとえば「将来このエリアに駅ができる」「大規模なショッピングセンターができる」という噂があると
将来の値上がりを期待して物件を購入したくなるかもしれません。
しかし、具体的な計画がない段階では、こうした噂や計画が実現するかどうかは不確定ですし
実現までに数十年かかることも少なくありません。
発展するとしても自分の子供や孫の世代になる可能性があり、現実的な投資としては不向きです。
よほど資金に余裕がない限り、やるべきではないでしょう。
借り入れをする場合、長期にわたる借入金の支払いに耐えられないリスクも考慮する必要があります。
さらに、たとえ駅やショッピングセンターができることが確定していたとしても、その情報は
すでに市場に織り込まれていることが多く、すでにその段階で物件価格が高騰してしまっている可能性があります。
結果的に物件は購入できたものの、高値づかみとなり、売却時には損失を出すことになりかねません。
過度に将来性に依存した購入は避けることが賢明です。
リスクを減らすために知っておきたいこと(3)
◆ 境界が不明確な物件は避ける
境界が不明確な物件は、購入後に隣地所有者とのトラブルが発生するリスクが高いため
売却時に時間がかかる可能性があります。
特に境界線を巡る争いが長引くと、精神的負担も大きく売却のタイミングを逃してしまう可能性もあります。
購入前には、土地の境界が明確になっているかを必ず確認し、近隣トラブルを未然に防ぐことが大切です。
◆ 道路に接していない物件や、接していても間口が狭い土地は避ける
道路に接していない物件や、接していても間口が狭い土地は、建築基準法の制約により
予定していた建物が建てられないリスクがあります。
こうした土地は、買い手にとって不利な条件となり、売却時に大きなハンデとなります。
購入時には、将来的に建物を建てることが可能かどうかや、建築の自由度をしっかり確認する必要があります。
◆ 別荘地は買わない
別荘を持つことは、多くの人が夢見ることでしょう。
しかし、実際に所有すると夢と現実の大きなギャップに気づくことになります。
弊社のお客様でも別荘を買って後悔している方は数多くいます。購入前には想像もしなかった様々な厳しい現実があるのです。
まずは、「形のあるものを維持するにはお金がかかる」という点です。
建物も普段住まない住居は経年劣化が激しく、メンテナンス費用も馬鹿になりません。
また、不法侵入者への対策も必要で、さらに掃除や草引きといった作業も必要です。
草木が生い茂ると近隣から苦情が寄せられ、そのたびに業者を呼び代行してもらうことが必要となります。
たまにしか使わない物件のために、訪れるたびに最初の1日は掃除や手入れに追われます。
日常の煩わしさから逃れて安らぎを得るはずの場所が、掃除や草引きで時間を費やすことになると
「せっかく買った別荘に何しに行ったのかわからない」という状況に陥ります。
草木が生い茂りやすい場所では、怠るとすぐに大木となるため、まめな手入れが必要です。
地元の業者にメンテナンスや手入れを依頼するための維持費もかさみ
結果として夢見た別荘ライフが高額なコストに見合わないことになります。
高額な維持費や手間をかけるくらいなら、定期的に高級ホテルに宿泊した方が
ずっと快適にくつろぐことができ、コストパフォーマンスも別荘を所有するよりはるかに高いでしょう。
やはり、別荘物件は売却も大変なのです。
夢に多額の出費をするより、現実的な選択肢を考えることが重要です。
購入時の重要なポイント:複数の専門家の意見を聞く
物件を購入する際は、いつもこのブログでお伝えしている通り
「1社だけの意見に頼らない」ことが非常に重要です。
不動産業者が示す情報は参考になりますが、必ず他の業者や専門家にも相談することをおすすめします。
複数の不動産会社から異なる視点の意見を聞くことで、物件の真の価値やリスクを見極めやすくなります。
また、建物への不動産投資の場合、建築家やホームインスペクター(住宅診断士)と相談し
物件の状態や将来的な修繕の可能性やメンテナンスをどのようにしていくかなどを確認することも非常に重要です。
多少の費用をかけても、購入後のコストを考えれば安いものです。
特に建築に関しては、法律や規制に詳しい専門家のアドバイスを受けることで
投資失敗のリスクを大幅に減らすことが大切です。