目次
株式(投資信託)と不動産投資の大きな違いとは
ここ最近、「インフレ」という言葉を耳にする機会が増えました。
物価がじわじわと上がっていく中で、「資産をどう守るか」「どう増やすか」を考えている方も多いのではないでしょうか。
不動産投資は、インフレに強い資産と言われることがあります。ただ、本当にそれだけで安心してよいのでしょうか。
少し立ち止まって考えてみたいと思います。
情報を一つに頼らないという考え方
私自身、株や投資信託を6年ほど続けてきましたが、現在は10社以上の証券会社と取引をしています。
これは情報の幅を広げること、そして一つの証券会社や一営業マンの意見に依存しないためです。
多くの証券会社とコネクションを持つことで、さまざまな意見を聞くことができます。
一つの株や投資信託に対する見立てや判断は、それぞれの会社や担当者によって千差万別です。
その違いに触れることで、自分の視野が広がり、最終的には「自分なりの判断軸」を
少しずつ確立していくことができるのではないでしょうか。
証券会社には人事異動があります。
信頼していた担当者、相性の良かった担当者が他店へ転勤してしまった場合でも、その人を追いかけて
連絡を取ることはルール上できません。
結果として、新しく来た担当者と関係を築くしか方法がないのが現実です。
もちろん、その新しい担当者が同じように信頼できる方であれば良いのですが、相性が合わない場合や、
やたらガツガツして顧客本位と言うより自分の営業成績を伸ばすことが主眼で
とんでもない商品を勧めてくる営業マンも過去何度か経験をしました。
こんな場合でも、簡単に担当者を変えてもらうことが難しいのが現実です。
だからこそ、複数の証券会社とつながりを持ち、一つの窓口に依存しすぎない体制をつくることが、
自分自身を守る手段になると感じています。
この考え方は、不動産投資にも通じると思います。
『営業マンに利用されるのでなく、営業マンを利用できるようになれば成功者になれる』
これは、弊社が取引をさせていただいているとある企業の社長様の格言です。
不動産投資と株・投資信託の大きな違い
ここで一度、基本的な違いに目を向けてみたいと思います。
不動産投資は、株や投資信託と比べて投資額が圧倒的に大きくなります。
数千万円、場合によっては億単位の投資になることも珍しくありません。
そして最大の違いは「借入れ」、つまりレバレッジです。
株や投資信託では基本的に自己資金で投資しますが、不動産は物件を担保に銀行から資金を借りることができます。
これは「他人資本を使える」という大きなメリットでもあります。
ただ、このレバレッジは本当にメリットだけでしょうか。
レバレッジの“もう一つの顔”
もし購入した不動産の価値が下がってしまった場合、どうなるでしょうか。
物件価格が半分になっても、借入金は減りません。
資産価値は下がるのに、負債はそのまま残る。
このギャップが大きなリスクになります。
● 売りたくても売れない
● 売却には自己資金の持ち出しが必要
● 金利負担だけが続く
さらに、今のように金利が上昇していく局面では、月々の返済額は増加していく可能性があります。
特に変動金利の場合、当初の想定よりも返済負担が重くなり、収支が崩れてしまうケースも考えられます。
こうした状況に陥る可能性があります。
実際、バブル崩壊時には、弊社も多額の借り入れをしており、物件価値が大きく下がる一方で、
金利は5〜6%という負担がのしかかり、多くの方が苦しい状況に追い込まれました。

株で得た利益が“消えていく”可能性
ここは特に、株や投資信託をされている方に一度考えていただきたいポイントです。
ここ数年、運用がうまくいき、大きく利益を出されている方も多いと思います。
ここ数年で何千万という利益を得た方もいらっしゃることでしょう。
そして「次は不動産投資へ」と考える流れも自然なことかもしれません。
ただ、不動産投資で損失を抱えた場合、その穴埋めにこれまで株や投資信託で得た利益を投入する、
というケースが実際に起こります。
さらに状況が悪化すれば、
● これまでの利益をすべて失う
● 次の投資に回す資金(軍資金)すらなくなる
という事態にもなりかねません。
コツコツ積み上げた資金ほど守るべきではないでしょうか
特にこれまで、投資資金をつくるために月々の生活費を削り、時間をかけて自己資金を積み上げてこられた方にとって、
この問題は決して軽いものではないはずです。
やっと余裕資金ができた、そのタイミングで大きな損失を抱えてしまうと、それは単なる投資の失敗ではなく、
人生設計そのものに影響を与える可能性があります。
特にサラリーマンの方のように、一定の年収をベースに生活設計や老後資金を考えている場合、この影響はより深刻です。
借入れによる返済負担や金利負担が重なれば、
● 毎月の生活資金が圧迫される
● 将来の貯蓄計画が崩れる
● 老後資金の見通しが立たなくなる
こうした事態も現実的に起こり得ます。
投資で本当に守るべきものとは
投資において守るべきもの、それは元本、つまり次の投資につながる資金です。
株や投資信託であれば、基本的には投資額の範囲内の損失に収まります。
しかし不動産は違います。
借入れをしている以上、損失は自己資金を超える可能性があります。
そしてその返済は、日々の生活や人生設計にまで影響してきます。
元本を失ってしまえば、再スタートは極めて難しくなります。
これは、過去の市場でも多くの人が経験してきた現実です。
また、不動産投資を検討する際には、単に物件の良し悪しだけで判断するのではなく、
現在の資産状況や保有資産、購入予定の物件内容も含めて、トータルで人生設計を考えられる方と
しっかり話し合うことも重要ではないでしょうか。
最後に・・・
私は不動産業に40年以上携わってきました。
本来であれば、不動産の欠点ばかりを強調するようなことは、あまり書きたくはありません。
それでもあえてお伝えしたいのは、不動産投資は「一般的な投資とは性質が違う」という点です。
金額の大きさ、そしてそれに伴うリスクの大きさ。
これは株や投資信託の損失とは、やはり桁が違います。
そしてその影響は、資産だけでなく人生そのものにまで及ぶ可能性があります。
だからこそ、慎重に判断していただきたいのです。
一つの情報だけで決めるのではなく、複数の意見を聞くこと。
そして、長年不動産に携わってきた人の経験や視点にも耳を傾けること。
少し遠回りに感じるかもしれませんが、その積み重ねが、大きな失敗を防ぐことにつながるのではないでしょうか。