生命保険というもう一つの提案
私はもう一つの選択肢として、次のような提案もいたしました。
「この物件を引き継ぐお子さんの負担を少しでも軽減するために、
ご自身が亡くなられたときに生命保険金を受け取れるようにしてはいかがですか?
保険金が入れば、そのお金を将来の修繕費や維持管理費に充てることができます。」
このご提案に対して、家主さんは顧問の税理士とも相談されたうえで、ご家族で話し合いの場を持たれました。
結果的に、長男が「それなら自分が継ぎたい」と手を挙げられたのです。
生命保険という「将来の資金的裏付け」があったことで、相続後の不安が軽減され、方向性が定まりました。
ただ、以前掛けておられた生命保険は、この家主さんが亡くなられた際の保険金の受取人は
配偶者である奥様になっておりました。
これを、奥様(家主さん)と相談の上、長男に変更されたとのことです。
この際に、万一父である家主さんが亡くなった際には、母の面倒を見るということも
話し合いとしてまとまったとのことでした。
この長男さんは後日、「父はなかなか頑固もので賃貸マンションの経営に関しては、今まで一人で仕切っておりました。
年々老朽化していくマンションを見て、僕がいくら改装工事の必要性を訴えても、お金がないの一点張りでした。
今回、藤元さんの進言でマンションの今後の運営を話し合う機会が持ててよかった。」
と私に感謝の意を述べてくださったのです。
家主さんも「今回、この賃貸マンションの件で、息子たちとも話し合いの場を持てて良かった。
自分の子に物件への思いも伝え、理解してもらうことで将来の話し合いもできて良かった。」
と、晴れやかな表情をされていたのでした。
今回、この賃貸マンションの将来をどうするかの話し合いで、今まで懸案だったマンションの方向性が決まり、
家主さんにとっては、将来発生する大きな問題の解決ができたのです。
もし、このまま先送りして相続の事態が発生すると、この兄弟間で大いにトラブルになることも予想できたかと思います。
将来発生する相続問題を解決策として、とくに不動産を所有される方は誰に物件を引き継ぐか?、
その物件の価値をしっかりと生前に把握した上で、相続人が後に争わないように
このように話し合いをしっかりとしておくことが大切だと思うのです。
(3)子供が引き継ぎたがらない築古マンション【大阪府北部】 … 続く