民法で定められた相続分とは?
子供のいないご夫婦で夫(または妻)が亡くなった場合、相続人は配偶者と夫(または妻)の兄弟姉妹になります。
民法上、配偶者の相続分は 4分の3(75%)、兄弟姉妹は 4分の1(25%) の権利を持ちます。
つまり、夫の遺産の一部は、夫の兄弟姉妹にも相続される可能性があるのです。
兄弟姉妹との関係が良好であれば問題にならないかもしれませんが、関係が希薄だったり、相手が強引だった場合、
残された配偶者が思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことも・・・
私の意見になりますが、実に不合理な法律規定だと思うのです。
現実的にいくら長年の夫婦の絆があっても、配偶者の兄弟姉妹にも取り分があるという理不尽な権利なのです。
でも、これを知らないご夫婦が意外と多いのです。
解決策は「遺言書の作成」
このようなトラブルを防ぐためには、遺言書の作成が何よりも重要です。
遺言書で「すべての財産を妻(あるいは夫)に相続させる」と明確に記しておけば、法律上、兄弟姉妹には
「遺留分(最低限の取り分)」はありませんので、遺言書通りに配偶者だけが相続することが可能になります。
子供のいないご夫婦の場合、「うちは関係が良いから大丈夫」と思っていても、いざというときには
第三者が口を出したり、思わぬ感情のもつれが発生することもあります。
遺言書は「今はまだ早い」と思われるかもしれませんが、元気なうちにこそ作成しておくことが
残される方への最大の思いやりです。
Tさんからの養子縁組の報告に驚き
その後、Tさんとはしばらくお会いする機会もなくなっていましたが、5年ほど前、突然お電話をいただいたのです。
「藤元さん。あのときは本当にお世話になったなあ。実は、養子縁組をしたんよ。後継者ができたんよ。今が一番幸せや」
そんな明るく晴れやかな声に、私はとても驚き、そして嬉しく思いました。
詳しいお話までは聞けませんでしたが、60歳を過ぎてから信頼できる後継者と出会い、養子縁組をされたとのこと。
「人生には本当にいろんな形があるんだなあ」と、私はその声にほっと一息つき、肩の荷が下りたような感じがしました。
このTさんの明るくて前向きな性格。人づきあいが広くて、人間関係も大切にされている。
だから、よき後継者に出会えたのだろうなあ。私にこの上ない励ましとなる報告でした。
(2)子供のいないご夫婦は「遺言書の作成」が必須です … 終わり