親族トラブルを防ぐために今できること
今から15年ほど前のことです。
私の友人の知人で自営業を営むTさんという方がおります。
私は友人を通じて何度か一緒にお酒を飲む機会がありました。
Tさんは付き合いも広く、とても気さくな性格で、酒席ではよく冗談を交えながら話をしてくれる方でした。
ある晩、その方が深刻な表情でこんな話をされました。
Tさんには居酒屋を経営する弟さんがおりました。
「弟とはもう縁を切ったよ。親父が亡くなり、俺たちは兄弟2人だけだったんだけど、相続でもめてなあ。
結局、俺に子供がいないのを理由に、弟が親父の価値ある財産を強引に持って行ってしまったんや。
弁護士を入れて徹底的に争うかなあとも思ったが、精神的に大変やからもうやめた。でも、妥協するのは悔しいわ。」
その方は、飲食店を営む弟さんとの2人兄弟で、子供はいませんでした。
お父様が突然亡くなられたようで、相続問題でかなりもめたとのことでした。
子供がいない夫婦に相続トラブルが起きやすい理由
このとき、私はTさんに同情しながらも、こうお伝えしました。
「Tさんにはお子様がいらっしゃらないので、万一、あなたが亡くなられた場合、遺産はすべて奥様が
相続するとは限らないんです。実は、民法上、配偶者だけでなく、弟さんにも4分の1の相続権が発生しますよ。
そうなると、今度は再度、奥様と弟さんとの間で相続権を巡って争うことになりますよ。
それは、奥様にも精神的負担をかけることになります。今の間に遺言状を書いておくことが必要なのですよ」
「えっ?なんで弟にまで相続権があるの?」と不思議そうな顔をされましたが、
これは現在の民法の規定によるものです。
(1)子供のいないご夫婦は「遺言書の作成」が必須です … 続く