親の生前中に話し合う機会を持つ大切さ
3年ほど前、大阪の北部に築30年になる賃貸マンションを経営する
70歳を過ぎた家主さんからご相談をいただきました。
この物件は2DKタイプが12室ある中規模の賃貸マンションで、
ご自身のご両親の代から受け継いだ思い出の詰まった建物です。
ところが近年、空室が目立ち始め、賃料を下げてもなかなか入居が決まらないという
厳しい状況が続いており「空室を減らすにはどうすればよいか?」というのが
この時のご相談内容でした。
この家主さんには3人のお子さんがおられ「このマンションを誰に引き継がせるか」という
相続上の悩みも抱えておられました。
物件を見させていただくと、築30年のわりには古さを感じる印象でした。
外装もそれなりの年季を感じ、竣工以来ほとんどメンテナンスをしておられないよう見受けられました。
オートロックではあるのですが、ポストはかなり傷んでおり、エントランスの扉の汚れも目立ち、
玄関ホールの床も傷や汚れで、全体的な経年劣化を感じずにはおれませんでした。
子どもたちの本音は「引き継ぎたくない」
私は「この機会にこのマンションの今後の運営をどうするかを
お子さんたちとも相談されてはいかがでしょうか?」と提案しました。
この家主さんには、長男・長女・次男の3人のお子様がいらっしゃいました。
この後、長男と次男とに相談したとのことでした。すると返ってきたのはこういった答えでした。
「収益はほとんど上がっていないし、正直言ってこのマンションは引き継ぎたくない。」
「こんな古いマンション、修繕費もかかってくるし、自分たちの代になると
もっと手間もかかるようになるだろうし、もう早く売却したらどうなの?」
この家主さんにとってはある程度予想していたとはいえ、子供たち2人とも引き継ぎには
拒絶反応を示したのはショックだったようです。
しかし、一般的にはこのような反応は決して珍しくありません。
(1)子供が引き継ぎたがらない築古マンション【大阪府北部】 … 続く