今回の理髪店店主さんの話を通じて、改めて感じたのは「相続は事前の準備がすべて」ということです。
特に代襲相続が絡むと、思わぬトラブルを引き起こすことがあるのです。
代襲相続とは?
まず、代襲相続とは何か?簡単に整理しておきます。
本来、相続人になるはずだった人(例えば子ども)が先に亡くなっていた場合、
その子どもの子ども(つまり孫)が代わりに相続することを言います。
今回のケースでは、店主の弟さんが先に亡くなっていたため、弟さんの子どもたち(甥・姪)が
祖父の遺産を相続する立場になりました。
一見すると当然の権利のようにも思えますが、現実には「亡くなった子の孫たち」が相続人になることで
血縁の距離感もあり、感情的なもつれが起こりやすくなるのが実態です。
遺言書があれば防げたかもしれない・・・
もし、店主の父親が遺言書をきちんと作成していたなら、この悲しい結末は防げた可能性が高いです。
遺言書があれば、例えばこんな指定が可能です。
◆ 長男(店主)にこの不動産を相続させる
◆ 代わりに甥・姪には、少額の現金を渡す
◆ 店の存続を最優先に考える
遺言書によって、相続人の意思をある程度コントロールできるため、不要な争いを避けられることが多いのです。
特に「事業を引き継いでいる子がいる場合」や「自宅と仕事場が一体になっている場合」には
なおさら事前の対策が不可欠です。
生命保険を活用する選択肢・・・
さらに、生命保険も有効な手段です。
たとえば、父親が生命保険に加入していれば、死亡保険金を使って甥・姪に現金を渡すことができたかもしれません。
これなら不動産を無理に売却する必要もなく、店主は店を続けることができたでしょう。
生命保険の活用は、特に「相続財産に現金が少ない場合」に非常に役立ちます。
掛け捨て型の手軽な保険もありますし、高齢者でも加入できる商品も増えています。
準備をしておくことで、未来の選択肢を広げることができるのです。
相続問題は「まだ先」の話ではない
「うちは仲がいいから大丈夫」「まだ元気だから心配ない」
そう思って先延ばしにしてしまうのが相続対策の難しいところです。
しかし、いざというときに備えて
・遺言書の作成 ・生命保険の活用 は、どんな家庭でも早めに取り組んでおきたいポイントです。
小さな準備が大切な人たちの未来を守ります。
(2)代襲相続と遺言書作成の重要性 ~ 家族を守るために今できること~ … 終わり